先日完成した車輪の最終工程「焼き嵌め」です。
車輪の周囲に鉄製の「わっか」をはめて完全に固定します。
ご存知通り、鉄は高温で伸びて、低温で縮みます。
その特性を利用し、鉄輪を赤くなるほど焼いて
鉄輪が伸びた状態で、車輪にはめて、すぐに水槽に落とします。
すると鉄が冷えて、縮んで、固くぎゅっと締まって
車輪が完成します。
と、言葉で説明すると、なんとなく理解できると思いますが、
実際に、これを実行するのは、そんなに簡単なことではありません。
まず、車輪の外周を旋盤加工で、できるだけ真円に仕上げます。
その外周寸法に合わせて、鉄輪を製作しますが、
温度変化による鉄の伸び縮みを予測し、
寸法を決める必要があります。
鉄輪は、車輪の大きさより少し小さめに制作します。
熱して伸びると、ちょうど車輪にハマる、というサイズです。
この辺の「さじ加減」は経験値でしかわからないでしょう。
鉄輪が小さすぎると、厚さ１０ｍｍの鉄輪が水槽の中で「ドンッ！！」
という音と共に切れてしまいます。
鉄輪が大きすぎると、車輪がしっかり締まらず、ガタガタになってしまいます。鉄輪は、専用に制作した窯の中で燃料であるコークスを焼いてその中で鉄輪を赤くなるほど熱します。
ほど良く焼いた鉄輪を車輪にはめて、水槽に落として一気に冷やします。
ちなみに、この作業をスムーズにやらないと鉄輪をはめたときに、車輪が焼け焦げて、ひどいときには、外周寸法が小さくなってしまいます。
車輪のほうも、鉄輪で締め付けられることを想定して外周の「大葉」と言われる部材のすきまを空けてセットします。７か所ある接合部をそれぞれ約２ｍｍ強、空かせましたが、焼き嵌めをすると、完全にびっちり付いてちょうど良い感じになりました。
山車の車輪では、良く行う作業なのですが、一般的にはあまり知られていないでしょうね。#お祭り #車輪 #山車 #ケヤキ #織戸社寺工務所 #宮大工
